(Apple Logic/Ableton Live編)AUX/GroupトラックもFreezeできる裏技


最近はコンピューターの性能も大分上がってきて全てネイティブでミックスする人も多いかと思います。
それでもSubgroup Mixing(サブミックス)やってる時にCPU/RAMが足りないなぁ、って場合に使える裏技を紹介します。

AudioトラックやInstトラックはフリーズできるのに、AUX/Groupトラックはフリーズできないんですよね、、
これがフリーズできたら便利だな、と思い色々検索してたらできました ^^

今回はApple LogicとAbleton Live編です。
Protoolsは元々AUXトラックをフリーズする機能があるので不要かと思いますが、それ以外のDAWでも応用できると思います(未検証)。

必要なプラグイン

用意するのはMChannelMatrixという無料プラグインのみです。
かなり便利なユーティリティプラグインで、自由なルーティングが可能になります。しかも無料です。こんな見た目です。

なぜAUX/Groupトラックにフリーズが必要か?

こちらが今回作成したセッションです。
<スクショ1>

見ての通り単純にKick, Snare, HatsをAUXトラックに纏めてドラムBussを作りました。一番下の『Drum Buss (AUX1)』と書いてあるトラックがドラムBussとして纏めたAUXトラックです。
この『Drum Buss (AUX1)』にWavesのTG12345を挿しました。
とても良いChannel Stripですが、CPUへの負担が結構ありますね、、。

画像右上のCPU/HDのメーター見ると判りますが、TG12345のみでCPU/RAM使用率が結構上がっています。
これが更にベースBuss、メロディBussと増えていけばCPUオーバーロードとなってしまいます。
他にも例えば”Lindel 80″の様にオーバーサンプリング機能を持つChannel Stripは音質は凄く良いですが、やはり重いです。

なので今回はこのAUXトラックをフリーズしてCPU/RAM負担を軽減しよう、と言うのがこの記事の趣旨です。

本来LogicやAbleton Liveには、AUX/Groupトラックをフリーズする機能はありません。
しかし上記のMChannelMatrixを使えばフリーズする事が可能になります。

また、この小技を応用すればセンドリバーブもフリーズする事が可能です。
リバーブの種類を多く使い別ける人にも是非応用してみて欲しいです。

Ableton Liveの人はこちらから見て下さい。

全部読むのメンドイ!って人はこちらからまとめを見てください!

Logicでのセットアップ

<スクショ2>

まず、上の<スクショ1>の状態から更に一番下にオーディオトラック『Freeze Track』を追加しました。
その新規オーディオトラック『Freeze Track』に”MChannelMatrix”を挿しています。

MChannelMatrixの設定

  1. <スクショ2>のMChannelMatrixの”SIDE-CHAIN”の箇所(<スクショ2>のピンク色の丸)を図の通りに設定します。1=1(left), 2=2(right), となります。
  2. 次に、MChannelMatrixの入力ソース元(<スクショ2>の緑色の丸)を”Bus 1″に設定します。これは『Drum Buss (AUX1)』が”Bus 1″を経由している為です(Logicでは自動的にその様に設定されますので、特に設定を弄らなければ同じ様に「Bus 1 = AUX 1」となります)。

チャンネルのルーティング設定

『Drum Buss (AUX1)』のOutputを”No Output”に設定します(<スクショ2>の水色の丸)。
音はMChannelMatrixを挿したチャンネル『Freeze Track』から出るので、この『Drum Buss (AUX1)』の出力を”No Output”に設定して切ってしまいましょう。切らないと双方から音が出るので爆音になります、気を付けましょう。

フリーズをする為のリージョンを作成する

さて、これで『Drum Buss (AUX1)』の音が『Freeze Track』から出る様になっている筈ですが、『Freeze Track』にリージョンが存在しない為、このままではフリーズできません。
そこで自分は取り敢えずオーディオトラックにMIDIのリージョンを挿入しました。以下の<スクショ3>の様な感じです。
<スクショ3>

『Freeze Track』にある赤丸の部分が挿入したMIDIリージョンです。リージョンの内容はいたってシンプルで、水色の丸の様にC3のノートをリージョンの頭から最後まで引いただけです。

オーディオトラックにMIDIのリージョン?って思うかもしれませんが、このリージョンがある事によってフリーズできる様になります。

フリーズしよう!

<スクショ4>

  1. <スクショ4>の赤色の丸の部分をクリックしてフリーズします。
  2. 『Drum Buss (AUX1)』に挿してあるTG12345をオフにします(<スクショ4>のピンクの丸)。

これで『Freeze Track』がフリーズされました。TG12345を切った分CPU/RAMの使用率が大幅に下がったのが判ると思います(<スクショ4>の緑色の丸)。
この状態で音が出てるのは『Freeze Track』からのみになりますので、もし関連する他のトラックにもエフェクトを使っている場合は全てオフにしてしまいましょう。

<スクショ4>では『Freeze Track』からのみ音が出てるよって分かりやすくする為『Drum Buss (AUX1)』のフェーダーを一番下まで下げていますが、上記でOutputを”No Output”に設定している為、特にフェーダーを下げる必要もありません。

以上がLogicでの設定方法です。

再度編集が必要に場合は、UnfreezeしてAUXトラックのエフェクトをオンにしましょう。
編集が終わったら再度フリーズしてAUXトラックのエフェクトをオフにします。

次はAbleton Liveでの設定方法です。

Ableton Liveでのセットアップ

<スクショ5>

このセッションでは、ベース5トラックをグループ化して『Bass Buss』を作成しました。『Bass Buss』に挿してるエフェクトは、Sonalksis EQ → Lindel 80 → Fabfilter Pro-Lの三つです。

正直”Sonalksis EQ”と”Fabfilter Pro-L(オーバーサンプリング未使用)”の二つはCPU負担が小さいので、ここでは”Lindel 80″がCPUへの負担となっています(<スクショ5>の水色の丸部分)。

“Lindel 80″はデフォルトでオーバーサンプリングが x2 になっているので、結構速いコンピュータでも10トラック以上に挿したらそれなりな負担になってくると思います。

なので、今回はこのグループトラック『Bass Buss』をフリーズします。

MChannelMatrixの設定

<スクショ6>

  1. MIDIトラックを作成します。『Bass Buss』のグループ内ではなく必ずグループ外に作成しましょう。
  2. ここではそのMIDIトラックに『Bass Freeze』と名前を付けています(<スクショ6>の赤色の丸)。
  3. <スクショ6>のMChannelMatrixの”SIDE-CHAIN”の箇所(<スクショ6>のピンク色の丸)を図の通りに設定します。1=1(left), 2=2(right), となります。
  4. 次に、”Sidechain”の入力元(<スクショ6>の緑色の丸)を『Bass Buss』に設定します。
  5. 最後に『Bass Buss』の出力を切ります(<スクショ6>の黄色の丸)。切らないと『Bass Buss』と『Bass Freeze』双方から音が出てしまうので爆音になります。忘れずに切りましょう。

これでルーティングは完了です。現状『Bass Buss』でエフェクト処理された音がMChannelMatrixを通って『Bass Freeze』に出力されています。
ただし現状ではMIDIクリップが無いので、このままではフリーズできません。なので次にMIDIクリップを作成します。

フリーズをする為のMIDIクリップを作成する

<スクショ7>

『Bass Freeze』にMIDIクリップを作成しました(<スクショ7>の水色の丸)。クリップの中は単純にC3のノートを頭から最期まで引いただけです。
因みに小技ですが、C3ノートを頭に置いて”Legato”ボタン(<スクショ7>の緑色の丸)を押すとMIDIクリップの最後の部分までノートの長さを勝手に調整してくれます。便利です。

フリーズしよう!

<スクショ8>

  1. 『Bass Freeze』トラックををフリーズします。
  2. 『Bass Buss』に挿してあるエフェクトをオフにします(<スクショ8>の赤色の丸)。
  3. 再確認ですが『Bass Buss』の出力は切ってある状態である事を確認して下さい(<スクショ8>のピンク色の丸)。

これで現状『Bass Buss』の音は『Bass Freeze』でフリーズされました。『Bass Buss』で使用していた分のCPU/RAMが解放されたのが分かると思います(<スクショ8>の緑色の丸)。

再度編集が必要に場合は、UnfreezeしてGroupトラックのエフェクトをオンにしましょう。
編集が終わったら再度フリーズしてGroupトラックのエフェクトをオフにします。

全部読むのがメンドイ人向けにまとめます!

Apple LogicとAbleton Live、それぞれでAUX/Groupトラックをフリーズする方法を箇条書きにして纏めたいと思います!

Apple LogicでAUXトラックをフリーズする方法

  1. MChannelMatrixをインストールする。
  2. フリーズしたいAUXトラックのすぐ下にAudioトラックを作る。
  3. 2で作成したAudioトラックにMChannelMatrixをインサートする。
  4. MChannelMatrixのSIDE-CHAINを1=1(left), 2=2(right)と設定する。
  5. MChannelMatrixのSide Chainの入力ソースをフリーズしたいAUXトラックに設定する。
  6. フリーズしたいAUXトラックのOutputを”No Output”に設定する。
  7. 2で作成したAudioトラックにMIDIのリージョンを作成する。
  8. 7で作成したMIDIのリージョンにC3ノートを頭からケツまで一本で描く。
  9. 8をやる事によって、2で作成したAudioトラックをフリーズ出来る様になるので、フリーズする。
  10. フリーズが終わったらAUXトラックのエフェクトをオフにする。

これでAUXトラックで使われていたCPU/RAMが解放されました。

再度編集が必要に場合は、UnfreezeしてAUXトラックのエフェクトをオンにしましょう。
編集が終わったら再度フリーズしてAUXトラックのエフェクトをオフにします。

Ableton LiveでGroupトラックをフリーズする方法

  1. MChannelMatrixをインストールする。
  2. フリーズしたいGroupトラックの下(Group内ではなく外)にMIDIトラックを作る。
  3. 2で作成したMIDIトラックにMChannelMatrixをインサートする。
  4. MChannelMatrixのSIDE-CHAINを1=1(left), 2=2(right)と設定する。
  5. MChannelMatrixのSide Chainの入力ソースをフリーズしたいGroupトラックに設定する。
  6. フリーズしたいGroupトラックの出力を切る。
  7. 2で作成したMIDIトラックにMIDIクリップを作成する。
  8. 7で作成したMIDIクリップにC3ノートを頭からケツまで一本で描く。
  9. 8をやる事によって、2で作成したMIDIトラックをフリーズ出来る様になるので、フリーズする。
  10. フリーズが終わったらGroupトラックのエフェクトをオフにする。

これでGroupトラックで使われていたCPU/RAMが解放されました。

再度編集が必要に場合は、UnfreezeしてGroupトラックのエフェクトをオンにしましょう。
編集が終わったら再度フリーズしてGroupトラックのエフェクトをオフにします。

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